天から落ちた星が底知れぬ深みのかぎを開けるとたくさんのいなごが出てきます。(啓示9:1,3)いなごの姿は戦闘の備えをした馬に似ていました。そして、頭の上に金のような冠と思えるものがありました。(啓示9:7)


 このいなごはエホバの証人の解釈のように、エホバの聖霊で油そそがれたクリスチャンの奉仕者を意味しているのでしょうか。今回の記事では、これらの描写が何を意味するのかを詳細に検討してみます。


(1)いなごは戦闘の備えをした馬のよう


 いなごは、「戦闘の備えをした馬」のようで、「翼の音は,多くの馬に引かれる兵車が戦闘に走り行く音のようした。(啓示9:7,9)以前の記事で述べたように、この啓示の書のいなごは、ヨエル書のいなごと描写がとてもよく似ています。



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いなごは戦闘の備えをした馬のようで金の冠をしている





 ヨエル書のいなごも、「馬の姿に似ており,その走って行く様は乗用馬のよう」です。そして、「山々の頂を行く兵車のような響きを立てて彼らは跳び回り」ます。(ヨエル2:4,5)そして、そのヨエル書のいなごは、「定めのない過去からいまだ存在したことがなく,それ以後にも代々の年月にわたり二度とない」数が多くて強大な民」を表わしていました。(ヨエル2:2)


 また、それは、エホバが神の民の中に送った、エホバの「大いなる軍勢」で、「戦闘隊列を組んで」いました。(ヨエル2:5)それで、このいなごの軍勢は、「エホバの日」にまず神の民を攻撃する北の王に率いられた「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」の強大な軍勢を意味しているのではないかと思います。


 エホバの証人は、このいなごの軍勢をエホバの証人奉仕者だと解釈しています。その解釈が間違っているのは、ヨエル書のいなごの軍勢に攻撃する人々の中には、神の民も含まれているからです。ヨエル1章には、いなごの軍勢の描写があり、さらにヨエル2章では、そのいなごの軍勢についての追加の説明があります。


 ヨエル2章では、このような勧めがあります。「シオンで角笛を吹き鳴らせ。断食の時を神聖なものとせよ。聖会を召集せよ。民を集めよ。会衆を神聖にせよ。(ヨエル2:1)いなごの軍勢の攻撃を受けた時に、神の民の集会を開いて断食の時、つまり祈りの時を持つようにと勧められています。



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いなごの軍勢の攻撃を受けたら集会を開いて神に祈るように勧められている-神の民はいなごではなくいなごから攻撃される





 また、「祭司たち,エホバに奉仕する者たちは泣き悲しんで」このように言うようにと勧められています。『エホバよ,どうかご自分の民を哀れんでください。ご自分の相続物をそしりの的,諸国民によって支配されるものとはなさらないでください。(ヨエル2:15-17)


 ですから、神の民は、いなごとして他者を攻撃するのではなく、いなごから攻撃される側の中にいるのです。そして、神の民が諸国民によって支配される危険があるのですから、攻撃するいなごは神の奉仕者ではなく諸国民なのではないでしょうか。


(2)なぜ軍勢がいなごと呼ばれているのか


 このいなごは、神の民を軍事攻撃することになる戦闘隊列を組んだ軍勢を表わしていると思います。なぜその軍勢はいなごで描写されているのでしょうか。


 昔エジプトに十の災いのひとつとして襲ったいなごは、「地の見える表面をまさに覆い尽くし,地を見ることさえできなくなる」と言われていました。 (出エジプト10:4,5)ここでは、群れのいなごの数がはなはだしく多いことを示唆しています。


 さらに、エジプトに臨んだいなごの災いの時に「エジプトの全土にわたり,樹木にも野の草木にも緑のものは何も残らなかった。」と記録されています。(出エジプト10:15


 ナホム書にも、「あなたの数をいなごのように非常に多くせよ。」という言葉があり、いなごになぞらえられる物の数が非常に多いことを示唆しています。(ナホム3:15)さらに、軍隊が攻撃した土地を「むさぼり食う」さまがいなごのようであると述べられています(ナホム3:15)


 
Wikiの「いなごの害」の項目では、「観察された最大級のサイズの群れ」として、1870年代ネブラスカ州を襲ったロッキートビバッタの群れの大きさは、幅160キロメートル、長さ500キロメートルである(この面積は日本の本州全面積の3分の1ほどである)。平均高さ800メートル、場所によっては1600メートルであったと報告されている。」と記載されています。また、「群れの個体数に関して確からしい値としては、1958に写真を使ったサバクトビバッタの観察結果で、1立方メートル当たり17匹、個体数500億匹、重さ115000トンという値が報告されている」ということです。

 







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群れのいなごの数は無数で数えきれないくらい多い場合がある

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いなごの群れが大量発生することがある

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軍勢がいなごと言われていることはその数が無数で数えきれないほど多いことを示唆している
 


  
   ですから、額に神の証印のないひとびとを攻撃する軍隊がいなごで描写されていることは、その軍勢の数が「無数」で「数えきれない」ほど多くなることを示唆しています。さらに、その軍勢が攻撃する土地の産物や資財を略奪して、何も残さないまでにすることを意味しているのではないかと思います。
(詩編104:34,35。エレミヤ46:23)




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いなごのために産物が略奪され何も残されない
 



(3)いなごは金の冠をしている


 なぜ、啓示の書では、このいなごが「金の冠」のようなものをしていたのでしょうか。「冠」は何らかの「栄光と光輝」を意味しています。(詩編8:5)それで、これはこのいなごの軍勢が、栄光と光輝を与えられていることを示しているでしょう。


 「金」は富んでいることを示唆しています。(啓示3:18)また、詩編では、「金の冠」をその頭に置くことは、「良いものの祝福」をさずけることを意味しています。(詩編21:3)


   いなごは「金」の冠がその頭に置かれているのですから、その軍隊の兵士が好待遇を受けて、十分な報酬を得、人々の間で、「栄光と光輝」、つまり、十分な誉れを与えられていることを示しているのではないかと思います。
(詩編8:5)また、その軍隊の装備が非常に高額なものであることを示しているのではないでしょうか。



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馬のようないなごは・・・


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頭の上に金の冠が置かれていた


 

 これらのいなごの軍勢の描写は、将来キリスト教の本拠地を攻撃するいなごのような軍勢の兵士の数が非常に多く、非常に高額で整った軍事的な装備をしていることを示唆しています。そして、行く先々を食い尽くしていくいなごのように、神の民の拠点の産物や資産を略奪していくことを示唆しています。




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いなごの軍隊の兵士の数は無数でその軍備の装備は高額で十分整っている





 いなごの軍勢は自分たちの進路にあるものを略奪し、食い尽していくのですから、これは、とても貪欲で乱暴な実体であることを示しています。このような描写は、聖霊で油そそがれたクリスチャンの奉仕者の描写にはそぐわないのではないでしょうか。


 それで、神の律法に違反した行いをする時、エホバ神は、その違反に対してキリスト教の本拠地に対しても処罰を加えることを示唆しています。エホバ神を恐れて、神の律法に固く付くようにしましょう。わたしたちは、個人的にそのようないなごの襲来を免れることができるでしょう。